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【大分市新型コロナウイルスの現状】

【大分市新型コロナウイルスの現状】

まだまだ新型コロナウイルスの現状を誤解されてる方も多いようです。

少しでも現状を知ってもらうため、先日9/7に行った一般質問の原稿をアップします。

◆『重症化させない新型コロナウイルス感染症対策について』

 

 まずここで、一度、国内及び本市における新型コロナウイルスの現状を整理したいと思います。

 NHKのまとめによりますと9/4時点での国内の累積感染者数は1,561,606人、死者数は16,329人です。625日に総務省から発表された令和2年の国勢調査人口速報によると国内人口は1億26227000人。これを基にすると感染率は約1.23%、感染者の死亡率は約1.04%、人口に対する死亡率は約0.013%、80.8人に1人が感染し、そのうちの95.6人に1人の方が亡くなられているということになり、人口比で見ると7,730人に1人が亡くなられています。

 本市においては9/4時点での累積感染者数は3,883人、死者数は33人。8月末日現在の人口は477525人ですので、感染率は約0.81%、感染者の死亡率は約0.80%、人口に対する死亡率は約0.0065%、123人に1人が感染し、そのうち117.7人に1人が亡くなられており、人口比では14,470人に1人の方が亡くなられていることになり、本市においては死亡者及び重症者は60代以上に偏っています。

 

 また、すべての死亡者には基礎疾患があり、重症例も2例を除き基礎疾患があることが確認されています。現場の医師から伺った話では、「デルタ株に置き換わり、ほとんどの方は軽症であり、重症化するケースは基礎疾患が大きく影響している。基礎疾患を持たない方が重症化するケースでは、本人が基礎疾患に気付いていない隠れ基礎疾患を抱えているケースであり、基礎疾患を持たない方が重症化することは、症状がありながら診察を受けず放置していて肺炎を引き起こしたなどのケースでもない限りは、まず考えにくい。」とのことであります。

 国内ではこれまでに4つの新型コロナ治療薬が承認されており、昨年5月にはレムデシビルが特例承認されています。点滴で投与され、当初、対象となる患者は人工呼吸器や人工心肺装置=ECMOをつけている重症患者などに限定されていましたが、今年1月からは肺炎になった中等症の患者にも投与が認められています。

 これに続き昨年7月に厚生労働省が推奨したのがデキサメタゾンというステロイド剤。こちらはイギリスの研究で重症者の死亡を減らす効果があると確認されており、国内ではレムデシビルと併用する治療が広く行われており、昨年の第1波と比べ、その後の感染拡大での致死率が大きく下がった要因の1つと考えられています。

 3つ目はバリシチニブ。今年4月に承認された錠剤で、酸素投与が必要な中等症以上の入院患者に対して、レムデシビルと併用して服用することが条件となっています。国際的な臨床試験において、バリシチニブとレムデシビルを併用した場合、レムデシビルを単独で投与した場合に比べ、平均で1日早く回復したという結果が得られています。

 そして最後の4つ目は、最近よく耳にする抗体カクテル療法です。これはカシリビマブとイムデビマブという2つの抗体を混ぜ合わせて点滴で投与することで新型コロナウイルスの働きを抑制する効果があり、初めて軽症患者に使用できる治療薬として承認されたものです。

 先日来、報道等でも言われていますが、この抗体カクテル療法の効果は非常に高く、報道ベースでは8割を超える効果があるとされています。本市内の病院でもすでに使用されており、医師の話によると、「驚くほど効く。12日で改善が見られ、23日で退院していく。今後の治療の主力は抗体カクテル療法になるだろう。ただし発症後1週間以内でなければ効果がないので、ストックができない治療薬を迅速に供給できるようにすることが重要。特に土日や祝日をまたぐと3日ロスしてしまうのでそこもポイント。」だと仰っていました。

 報道によりますと、昨日新たにイギリスのグラクソ・スミスクラインが「ソトロビマブ」の承認申請を行ったそうです。酸素の投与の必要がない軽症または中等症の重症化リスクのある患者を対象とした抗体を使った治療薬で、入院や死亡のリスクを8割程度減らす効果があるとされており、承認されれば、抗体カクテル療法と同程度の効果が見込まれることになり、さらに治療の幅が大きく広がることになります。

 

 さらにワクチン接種者に係る情報もまとめておきたいと思います。

 現在、本市においても急ピッチで進められているワクチン接種ですが、接種後2週間ほどで抗体価がピークを迎え、個体差はありますがその後1ヶ月ごとに半減していくようです。

 高齢者より若年層、男性より女性、副反応が強い方ほど初期抗体価が高い傾向にあり、初期抗体価が低い場合は感染抑制効果を得られていないこともあるようで、ワクチン接種後の感染原因の1つです。また、ワクチン接種者が感染した場合のウイルス量も、ワクチン未接種者と比べて変わりがなく、無症状のまま他人に感染させる場合も出てきていると考えられますので、この点も今後注視していくことが大切だと思われます。

 以上のことから、

デルタ株は感染力は強いが軽症のケースが多く、重症化することはほとんどない

重症化リスクが高いのは基礎疾患を持った方

重症化・死亡例は高齢者かつ基礎疾患のある方

抗体カクテル療法は非常に効果的だが早期に投与する必要がある

ワクチンの効果は時間とともに減少していく

 ということがわかります。

これらを根拠として、「重症化させない新型コロナウイルス感染症対策について」質問します。

 

《感染力を持たない陽性者について》

 まず、感染力を持たない陽性者について。前回、第2回定例会での一般質問でも触れましたが、PCR検査のあり方と陽性者認定のあり方について質問します。

 PCR検査はウイルスを増幅させることにより、体内にあるウイルス量を推定するものであり、増幅回数の低い値で発現するほど、体内ウイルス量が多いと推定され、その増幅サイクルがCT値と呼ばれています。

 現在、厚生労働省の指導により、国内でのPCR検査はCT40未満とされており、本市においてもCT39までに一定のウイルス量が確認された場合に陽性者として認定をしていますが、世界各国の調査・研究においてCT35以上での陽性反応は他者に感染させるだけのウイルス量を持っていないとされ、多くの国々においてCT35未満を陽性と認定しています。

 つまり、CT3539で陽性とされる方々は、感染力のない方々を陽性者とし、これにより隔離し、積極的疫学調査を行い、濃厚接触者を特定し、濃厚接触者のPCR検査を行う。当然、それにかかわる保健所、医療機関、濃厚接触者に影響が出てきます。

 しかしながら、感染力を持っていない、また、症状も出ていない方を特定することはリスクがないにもかかわらず、不要な制限をかけることになり、各関係機関の負担を増やすだけのことになりかねません。

 厚生労働省の指導では、CT40未満とだけされていますので、本市においてはこれまでのデータと根拠に基づきCT35未満としてはいかがでしょうか。見解をお聞かせください。

 

《重症化リスクの早期発見のために》

 次に、重症化リスクの早期発見のため、また保健所の負担軽減のために積極的疫学調査のあり方について質問します。

 現在、陽性者が出た場合、保健所がその感染元と濃厚接触者等の聴き取りを行っている積極的疫学調査ですが、現在ではデルタ株の特徴、感染力が強く軽症が多い、また抗体カクテル療法の承認などにより重症化率・死亡率ともに下がっている中において、その意義は大きく薄れてきていると考えます。

 感染者が少ない場合や、重症化率が高い場合、また無症状のスプレッダーが多く発生する場合においては効果が大きいのかもしれませんが、現在の状況においては負担の大きさに対しての成果は得られないものと考えます。

 特に、濃厚接触者や行動調査では、「なんで答えないといけないのか」「今忙しいからあとで電話して」「お前らがちゃんとしないから感染させられた」などの罵声を浴びせられることも少なくないと聞いています。そもそも、濃厚接触者として調査するのは無症状の方です。症状の出ている方はすでに病院経由等で発見されますし、陽性者と接触している方や不安な方は抗原検査センター等の抗原検査が行えます。現在の抗原検査の精度はPCR検査のCT30相当といわれていますので、かなりの確率で感染力のある感染者を発見できます。もし、感染していたとしても重症化するケースも稀です。

 調査する職員から直接聞いたわけではありませんが、その心境を慮るに、『効果のないものをこんなに罵声を浴びせられてまでなんでやらなきゃいけないんだろう』と苦しい思いの中で日々業務に当たってくれているのだろうと思います。

 これまでの経験から感染を完全に抑え込むことはできないということを私たちは学びました。

 新型コロナ対策の目的は、感染者をつくりだすことでも、ワクチンを接種させることでもなく、救えるはずの命を救っていく、治療が必要な人に治療が行きわたる医療体制を構築することではないでしょうか。 

 

 新型コロナ対策の主力は抗体カクテル療法に変わっています。今後感染拡大が起こってしまった場合に、現在の対応では濃厚接触者の調査に追われ、重症化リスクのある患者を見落としてしまいかねません。

 そうならないためにも、これからは、濃厚接触者の調査を止め、保健所職員の本来の使命であると思われる、救える命を救っていくために、重症化リスク患者の早期発見のための調査を優先していただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。

 

《症状に応じた効果的対応をするために》

 先に述べた理由から、今後ワクチン接種者の抗体が減少し、ワクチン接種者にも感染が拡がる可能性も充分に考えられると思います。(9/4時点で2回接種済みの陽性者33)

 その際、現在の対応では病院や宿泊療養施設が満床となり、千葉県柏市のように妊婦が入院できず、自宅で早産し新生児が死亡するような痛ましい事故が起こるような状況をつくりだしてしまいかねません。

 あのような事故が二度とおきないように私たちは学び、即刻改善していかなければなりません。

 新型コロナウイルスに感染した妊婦は、妊娠25週以上で重症化するリスクが高くなることが最近の研究でわかってきています。

 つまり、この場合も妊婦の状態を早期に把握し、積極的に抗体カクテル療法を行っていくことが望ましく、その他の重症化リスクのある患者にも早期に抗体カクテル療法を行っていく体制をとる必要があります。

 陽性反応が出た患者の重症化リスクを早期に判断し、リスクのある方は入院や臨時医療施設に入ってもらい抗体カクテル療法を積極的に行う、そして回復すれば自宅に帰ってもらいオンライン診療や往診、保健師の聴き取り等を行ったうえで療養していただく。

 重症化リスクのない患者は、往診やオンライン診療で対応する。

 その際、患者の不安を減らすことも大切であり、その対応のモデルとして参考になるのが有名な「墨田区モデル」東京都墨田区の事例です。

 

 ここで、医師でもある西塚墨田区保健所長の話をご紹介します。

「今回の波は、若くて軽症の患者さんが多いのですが、頭が痛い、お腹が痛い、薬が効かない、食べられないという自覚症状で重症だと思い、病院に行く、救急車を呼ぶ。つまり患者さんの不安が病床逼迫の大きな要因の1つなのです。その不安を減らし、安心の灯をどれだけ見せられるかが勝負です。だから往診やオンライン診療で頻繁に連絡を取って、軽症の説明をし、治療をして落ち着いていただく。回復したら休日でも夜間でも退院していただき、ベッドを空けて、次の方が入れるようにする。できるだけ軽症のうちに重症化の芽を摘む。そのために抗体カクテル療法も行っています。」

 こうした事例を参考にしながら、重症化リスク患者は入院や宿泊療養で抗体カクテル療法を積極的に行っていただき、回復後は早期に自宅へ移動していただきベッドを空けて次に備える。軽症者には不安を取り除く充分な説明をしたうえで自宅療養をしていただく。

 

 このように、それぞれ症状に応じた効果的対応を行っていただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。

《以上》

 

多くの方に現状を冷静に理解してもらい、我が国において客観的で効果的、そして温情あるコロナ対策によって、1日も早く収束することを願います。

 

#大分市 #大分市議会 #一般質問 #新型コロナ #重症化させないコロナ対策を #抗体カクテル療法

 

<大分市議会議員 倉掛まさひろ>

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